盆休みと臨時休業・営業日のお知らせです
誠に勝手ながら、今月は次のように営業日を変更させていただきます
<盆休み> 8月13日(日)・14日(月)
<臨時休業日> 8月8日(火)・21日(月)
<通常営業日> 8月11日(金)「山の日」
よろしくお願いいたします
27日(日)はアリスマーナのイベントを薬局内で開催予定です
誠に勝手ながら、今月は次のように営業日を変更させていただきます
<盆休み> 8月13日(日)・14日(月)
<臨時休業日> 8月8日(火)・21日(月)
<通常営業日> 8月11日(金)「山の日」
よろしくお願いいたします
27日(日)はアリスマーナのイベントを薬局内で開催予定です
内服する漢方薬の剤形には、煎じ薬の他に散剤、丸剤というものがあります
煎じ薬は生薬を水から煮出して作る「○○湯」と言われるものです
散剤は乾燥した生薬をそのまま挽いて粉末にしたもので「○○散」と言われ、丸剤は散剤を蜂蜜で練って丸くしたもので「○○丸」と言われます
➡各剤形の例・・・煎じ薬:葛根湯、散剤:五苓散、丸剤:桂枝茯苓丸
今回は散剤のひとつである五苓散(ごれいさん)のお話です
*五苓散料(ごれいさんりょう)というのは、五苓散の生薬を粉砕せず、煎じ薬として煮だしたものです 散剤と同等の効果があると言われています
猪苓(ちょれい) :サルノコシカケ科のチョレイの全体
沢瀉(たくしゃ) :オモダカ科のサジオモダカの塊根
茯苓(ぶくりょう) :マツの根に生じるサルノコシカケ科ブクリョウの菌核
蒼朮(そうじゅつ) :キク科のホソバオケラの根茎
桂枝(けいし) :南中国またはベトナム産のクスノキ科植物の皮
五苓散の薬方は、漢方最古の古典である『傷寒雑病論』(しょうかんざつびょうろん)に記されている代表的な条文は以下のものです
太陽病、発汗後、大汗出、胃中乾、煩躁不得眠、欲得飲水者、少少與飲之、令胃氣和則愈。若脈浮、小便不利、微熱消渇者、五苓散主之。
(太陽病、発汗して後、大いに汗出で、胃中乾き、煩躁して眠るを得ず、水を飲むことを得んと欲するものは、少少与えて之を飲ましめ、胃氣を和せしむれば則ち愈ゆ。若し脈浮にして、小便不利し、微熱ありて消渇するものは、五苓散之を主る)
中風、発熱六七日、不解而煩、有表裏證、渇欲飲水、水入則吐者、名曰水逆。五苓散主之。
(中風、発熱六七日、解せず而して煩し、表裏の証有り、渇して水を飲まんと欲し、水入れば則ち吐く者は、名づけて水逆と曰う。五苓散之を主る)
「傷寒雑病論」に出てくる薬方の条文をまとめ、方意を示した「類聚方」(吉益東洞 著)の「方極」には以下のように記されています
治消渇、小便不利、或渇欲飲水、水入則吐者
(消渇、小便不利、或は渇して水を飲まんと欲し、水入れば則ち吐す者を治す)
「消渇(しょうかち)」とは、のどが渇いて水を飲み続けても小便が出ない状態をいいます
のどが渇いて水を飲み続けても小便が出ないか、あるいは水を飲みたいのだけど飲むとすぐに吐いてしまうのを目標に、いろいろな病気に応用されます
ネフローゼ、腎炎、糖尿病、胃下垂、急性胃腸炎、小児の吐乳、結膜炎、陰嚢水腫、てんかん、乗り物酔い、二日酔、頭痛、偏頭痛、皮膚病など
漢方エキス製剤の添付文書の効能・効果には以下のように記されています
のどがかわいて、水を飲むにもかかわらず、尿量減少するもの、頭痛、頭重、頭汗、悪心・嘔吐、あるいは浮腫を伴うもの。
急性胃腸カタル、小児。乳児の下痢、宿酔、暑気当たり、黄疸、腎炎、ネフローゼ、膀胱カタル。
コタロー漢方製剤の添付文書より引用
五苓散という薬方名は「五物猪苓散」の略で、三味の猪苓散、猪苓湯という薬方もあります
五苓散:猪苓、茯苓、朮、沢瀉、桂枝
猪苓散:猪苓、茯苓、朮
猪苓湯:猪苓、茯苓、滑石、阿膠、沢瀉
夏は、汗を大量にかき、水分を多くとる一方、冷房で冷えたり、ビールやアイスクリームの食べ過ぎで胃腸の機能も低下したりもします
また涼を求めて、夏山登山や山歩き、旅行などに行かれる方もいらっしゃることでしょう
そんなときに五苓散が活躍したエピソードをご紹介します
*炭酸飲料と下痢の無限ループからの脱出
暑さで食欲も落ちるけど、のどはかわいてしょうがないので、麦茶を飲んでいた学生さん。もっとすっきりしたいのと夏バテのせいか甘味も欲しくなり、炭酸飲料をがぶ飲みするようになりました。ところがますます食欲がなくなり下痢をする、体から水分がなくなるので、また炭酸飲料を飲む、下痢をするを繰り返し、体力もおちていきました。そこでまずは炭酸飲料をやめてもらい、五苓散を服用したところ、下痢がおさまってきだし、食欲も少しずつ回復しました。下痢止めや胃腸薬を飲んでも脱出できなかった炭酸飲料⇔下痢のループが漢方薬で効果あるとはと驚いていました。
*夏の山歩きのおともに
夏になると「五苓散をください」とご指名で薬局に来られる何人かの方がいらっしゃいます。皆様、お元気で活動的な感じがするので、服用される理由をおたずねしてみました。「夏になると少し高地の山歩きをするのですが、仲間から常備薬にすすめられました。乗り物酔いをしやすく、飛行機や新幹線に乗ると気圧の変化からか気分が悪くなるのですが、これを飲むといいみたいです。」
*前世はチベットの僧侶!?
チベット仏教の聖地ラサにあるポタラ宮殿に行かれる方の高山病対策のひとつとして五苓散をお渡ししたことがあります。ポタラ宮殿は、標高3700mに位置し、富士山と同じレベルだそうです。少しずつ高さに慣らしながらの行程だったそうですが、同行メンバーが次々と高山病でダウンする中、その人は五苓散を飲みづづけて一度もダウンすることなく、元気でポタラ宮殿まで行き、貴重な経験ができたそうです。チベット人のガイドから「あなたはほんとはチベット人ではないか?」と驚かれるほどだったそうです。
7月17日(月)は祝祭日ですが通常営業いたします
誠に勝手ながら、研修会参加のため
7月11日(火)は14時からの営業とさせていただきます
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします
30日(日)はアリスマーナのイベントを薬局内で開催予定です
誠に勝手ながら
6月10日(土)は臨時休業、と6月9日(金)は15時までの営業とさせていただきます
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします
6月25日(日)はアリスマーナのハーブレッスンを開催予定しております
半夏厚朴湯を最近はご存じの方も増えました
同時に知ってるけど「何と読むかがわからないが夏なんとかという漢方薬飲んだら咳が良くなったのだけど」とおっしゃる方が多いようです
今回はそんな半夏厚朴湯についてお話したいと存じます
半夏(はんげ) :サトイモ科カラスビシャクの塊茎
茯苓(ぶくりょう) :マツの根に生じるサルノコシカケ科ブクリョウの菌核
生姜(しょうきょう):ショウガ科のショウガの根茎
厚朴(こうぼく) :モクレン科植物の樹皮、あるいはホウノキの樹皮
蘇葉(そよう) :シソ科のシソの葉
半夏厚朴湯の薬方は、漢方最古の古典である『傷寒雑病論』(しょうかんざつびょうろん)の慢性的に推移している病の篇『金匱要略』の「婦人雑病脈証併治第二十二」にあります
婦人、咽中如有炙臠、半夏厚朴湯主之
(婦人、咽中に炙臠有るが如きもの、半夏厚朴湯これを主る)
「傷寒雑病論」に出てくる薬方の条文をまとめ、方意を示した「類聚方」(吉益東洞 著)の「方極」には以下のように記されています
治咽中如有炙臠、或嘔、或心下悸者
(咽中に炙臠有るが如く、或は嘔し、或は心下悸する者を治す)
「咽中炙臠(いんちゅうしゃれん」とは、のどのあたりに炙った肉が張り付いているような感じがすることをさしています 気の鬱滞により起こり「梅核気(ばいかくき)」(梅干しのたねがのどにあるような感じ)とも言われます
この咽中炙臠を目標に、婦人に限らずいろいろな病気に応用されます
神経衰弱、ヒステリー、血の道症、不眠、ノイローゼ、うつ症状、食道狭窄症、胃下垂、胃アトニー、妊娠悪阻、月経不順、気管支炎、喘息、バセドー病、声枯れ、風邪の後の咳など
この処方が合う方は、手足や顔がむくむタイプが多いようです
漢方エキス製剤の添付文書の効能・効果には以下のように記されています
精神不安があり、咽喉から胸元にかけてふさがるような感じがして、胃部に停滞膨満感があるもの。
気管支炎、嗄声、咳嗽発作、気管支喘息、神経性食道狭窄、胃弱、心臓喘息、神経症、神経衰弱、恐怖症、不眠症、つわり、その他嘔吐症、更年期神経症、神経性頭痛
コタロー漢方製剤の添付文書より引用
このようにのどが腫れたあとや実態がなくてものどに違和感があるものに幅広く使えます
また胃腸や循環器、婦人科系の症状の処方に半夏厚朴湯を合わせて、気の鬱滞からくる症状の緩和に用いる機会があります
小柴胡湯に半夏厚朴湯を合わせた柴朴湯(さいぼくとう)などがそのひとつです
漢方薬の方剤の名前には、構成している生薬すべてや主要な生薬の名前、方剤全体のイメージ、効能、それが使われていた地域や歴史的なことから由来しているという話を前回させていただきました
半夏厚朴湯は、構成している主要な生薬である「半夏」と「厚朴」から由来しているといってよいでしょう
このひとつ半夏(はんげ)についてのお話をしましょう
「半夏」は、カラスビシャクの塊茎を乾燥したものの生薬名です
『漢方養生談』(荒木正胤著)には、「悪心して嘔吐するを治す。かねて胃内停水、腹中の雷鳴、咽喉の腫痛、咳の出るものを治す。」とあります。
カラスビシャクはヘソクリという別名があります 塊茎がいかにもおへそをくりぬいた形をしていることから来たのとカラスビシャクを売ってこっそりお金を貯めたことから来たという話です
昔、農家の嫁は取りがたい草を掘り、つわりの薬である半夏を集めて妊娠に備えることが美徳とされた。ところがその嫁は集めた半夏を薬屋に売って、自分のお金を貯めるのに懸命であった。これがヘソクリの語源である。
『月刊 漢方療法ー中国の生薬⑪半夏』木村孟淳 著より引用させていただきました
半夏という生薬名からカラスビシャクと間違われやすいものに「半夏生(ハンゲショウ)」があります これはドクダミ科の植物で、名前の由来は葉の一部を残して白く変化する様子から「半化粧」とする説と花が咲く時期(半夏生)からという説があります
二十四節気の夏至(6/21~7/6頃)のうち七十二侯の末侯は半夏生(はんげしょうず)と言われてます
ちょうどこの時期に、カラスビシャクとハンゲショウの開花時期が重なることからどちらも「半夏」というようになったのではないかと言われています
時候の半夏生は夏至からかぞえて11日目ですが、現在では黄道100度の点を太陽が通過する日とするので今年は7月2日になります
この時期、関西では田植えを終えて豊作を祈るお供えにささげたことからタコを食べ、香川では小麦の収穫を祝ってうどんをうって食べる風習があるそうです
これから半夏生にむかって、気温や気圧も上昇するため、からだをめぐる氣の流れも乱れがちになります そのような時に半夏厚朴湯は心強い味方になります