誠に勝手ながら、都合により
4月11日(火)・15日(土)は臨時休業日とさせていただきます
ご迷惑をおかけしますが、よろしくお願いいたします
なお、16日(日)・29(土)は日祝日ですが通常営業いたします
30日(日)はアリスマーナでハーブレッスンを開催予定です
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葛根湯の次に知名度が高い漢方薬と言えば、小青龍湯ではないでしょうか
この処方が脚光を浴びるようになったのは、鼻水がたらたらと出る花粉症の症状に使われるようになってからですね
こちらもエキス細粒剤で飲む機会が多いため、何種類の生薬が入っているのかご存じの方は少ないのではないでしょうか
今回はそんな小青龍湯についてお話したいと存じます
麻黄(まおう) :マオウ科のマオウの地上部
芍薬(しゃくやく) :キンポウゲ科のシャクヤクの根
桂枝(けいし) :クスノキ科の植物の皮
生姜(しょうきょう):ショウガ科のショウガの根茎
甘草(かんぞう) :マメ科のカンゾウの根
細辛(細辛) :ウマノススクサ科ウスバサイシンの根
五味子(ごみし) :モクレン科チョウセンゴミシの果実
半夏(はんげ) :サトイモ科カラスビシャクの塊根
若草色の文字は桂枝湯(けいしとう)という「漢方薬の祖」と言われる処方の生薬です
小青龍湯は桂枝湯から大棗を除き、麻黄、細辛、五味子、半夏を加えた処方となっております
漢方最古の古典である『傷寒雑病論』(しょうかんざつびょうろん)の小青龍湯は以下のように記されています
傷寒、表不解、心下有水気、乾嘔、発熱而喘、或渇、或利、或小便不利、少腹満、或喘者、小青龍湯主之
(傷寒、表解せず心下に水気有り、乾嘔し発熱して喘し、或は渇し、或は利し、或は小便利せずし、少腹満し、或は喘するもの、小青龍湯之を主る)
咳逆倚息、不得臥、小青龍湯主之 『痰飲咳嗽病脈証併治第十二』より
(咳逆倚息し、臥するを得ずるもの、小青龍湯之を主る)
「傷寒雑病論」には他にも小青龍湯に関する条文がいくつかあります
その「傷寒雑病論」に出てくる薬方の条文をまとめ、方意を示した「類聚方」(吉益東洞 著)の「方極」には以下のように記されています
治咳喘上衝頭痛発熱悪風乾嘔者
(咳喘、上衝、頭痛、発熱、悪風、乾嘔する者を治す)
みぞおちのところが張って、背中や手足が冷え、尿利が減少するのを目標に、気管支炎、気管支喘息、季節ごとにおこる咳嗽、喘息、鼻炎など水様の痰や鼻水、くしゃみを出し、顔の浮腫むものや、反対に尿意をしきりにもよおす者に使われます
この処方が合う方は、鼻水が透明で水っぽく、たらたらと流れ出て止まらないのがひとつの目安になります
漢方エキス製剤の添付文書の効能・効果には以下のように記されています
下記疾患における水様の痰、水様鼻汁、鼻閉、くしゃみ、喘鳴、咳嗽、流涙
気管支炎、気管支喘息、鼻炎、アレルギー性鼻炎、アレルギー性結膜炎、感冒
コタロー漢方製剤の添付文書より引用
小青龍湯は、鼻水がたらたら出ている時に服用すると、わりと早く症状が落ち着いてきます
漢方薬は長い期間服用しないと効果がないという印象をお持ちの方が多いと思いますが、小青龍湯はその印象をくつがえす漢方薬のひとつでしょう
花粉症など季節変化によっておこるものは、小青龍湯を服用した後、その症状を引き起こしやすくしている生活習慣の見直しをしたり、それを助ける漢方薬を服用することをおすすめします
漢方薬の方剤の名前には、構成している生薬すべてや主要な生薬の名前、方剤全体のイメージ、効能、それが使われていた地域や歴史的なことから由来しています
例えば
苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)
茯苓(ぶくりょう)・桂枝(けいし)・朮(じゅつ)・甘草(かんぞう)から構成
葛根湯(かっこんとう)
葛根・麻黄・生姜・大棗・桂枝・芍薬・甘草から構成
補中益気湯(ほちゅうえっきとう)
人参・白朮・黄耆・当帰・陳皮・大棗・柴胡・乾姜・升麻から構成
胃腸(おなか:中)の滋養を補い、氣を益すという意味
といったものです
小青龍湯という名前は、古代中国の風水の「四神相応(しじんそうおう)」から来ていると言われています
上図はアロタン(アロマテラピーの語源のお話)のサイトより引用させていただきました
古代中国では都や重要な街を作るときに、背後に山、前方に海、湖沼、河川の水(すい)が配置されている背山臨水の地を、左右から砂(さ)と呼ばれる丘陵もしくは背後の山よりも低い山で囲むことで蔵風聚水(風を蓄え水を集める)の形態とする風水の観点をとりいれていました
この東西南北の守りを四神と呼び、背後の山が玄武、前方の水が朱雀、玄武を背にして左側の砂が青龍、右側が白虎という四禽(動物)に例えました
以上Wikipediaより抜粋引用させていただきました
この観点は漢方薬にも取り入れられ、以下のように配せられています
北:玄武:冬:黒:真武湯(玄武湯);附子の黒い色から
南:朱雀:夏:赤:十棗湯;大棗の赤い色から
西:白虎:秋:白:白虎湯;石膏の白い色から
東:青龍:春:青:小青龍湯;麻黄の青い色から
春の季語である東風(こち)が吹いて、早春の風の寒さから、冷えのある方が鼻水が出だす時には小青龍湯を服用する、とうまくつながりますね
ちなみに青龍の名を持つ漢方薬に大青龍湯(だいせいりゅうとう)というものがあります
麻黄、桂枝、甘草、杏仁、生姜、大棗、石膏から構成されており、発熱・悪寒・身体疼痛するも発汗できず煩躁する状態の者に使われます
漢方薬はいくつかの生薬(薬草・鉱物・動物由来)を組み合わせ「方剤」として使う機会が多いのですが、単独の生薬で用いるものもいくつかあります
その中のひとつが牛黄(ごおう)という生薬です
牛黄は牛の胆のう中に生じた結石(胆石)で、『日本薬局方』にも収載されている生薬です
解熱、鎮痛、強心の効能があり、胆石を粉末にしたものを頓服で服用します
牛黄が薬として認識されていた歴史は古く、古代の中国はもちろんのことインド、ペルシャから広まりヨーロッパにもあったようです
飛鳥時代に成立したといわれる日本最古の法典である大宝律令(700年頃)には、すでに馬や牛が死んだときに牛黄が見つかったら政府に献上するようにという記載があります
平安時代中期の貴族・源経頼の日記『左経記』には、献上用の牛が急死し、その処理にきた河原人が牛の体内にある黒い玉「牛黄」を見つけて持ち去るが、検非違使がそのことを聞きつけて牛黄を差し出させ、感激て経頼に語ったことが書かれています
また大乗仏教の経典である「金光明最勝王経」に「瞿蘆折娜(くろせつな)」という牛黄を意味するサンスクリット語が書かれています
このように牛黄は、朝鮮半島や中国大陸からの渡来人によって仏教とともに伝わったのではないでしょうか
牛黄は高貴薬(希少性がありそれに代わるものがない薬)であり、仏教や神道とも関わりがあるため、生薬としての身体への薬効のみならず、病のような鬼氣を払うもの、神聖なものとしてあつかわれてきています
薬師寺 花会式(修二会)
修二会とは奈良の大寺が国家の繁栄と五穀豊穣、万民豊楽などを祈る春の行事です。修ニ会とある通り、この法要は2月に行われるのですが、薬師寺の場合は旧暦の2月末に行われていた事から、そのまま新暦に直して3月25日から3月31日にかけて行われています。春先に東大寺に修二会お水取りという俗称がついたように薬師寺修二会には十種の造花がご本尊に供えられるところから「花会式」と呼ばれ、「奈良に春を告げる行事」として親しまれています。花会式(修二会)に参篭する僧のことを「練行衆[れんぎょうしゅう]」と言い、最終日の3月31日の夜には「鬼追式[おにおいしき]」が法要の結願[けちがん]を飾ります。
薬師寺ホームページより引用させていただきました
この修二会の満行の後、結縁者には「牛玉札(ごおうふだ)」が授与されます
これは「薬師寺吉祥法印」と刷られた和紙に牛黄を混ぜた染料で印が押してあります
熊野大社 熊野牛王宝印
牛王宝印とは、神社や寺院が発行するお札、厄除けの護符のことです。牛王神符ということもあります。
牛王宝印は、厄除けのお札としてだけでなく、裏面に誓約文を書いて誓約の相手に渡す誓紙としても使われてきました。牛王宝印によって誓約するということは、神にかけて誓うということであり、もしその誓いを破るようなことがあれば、たちまち神罰を被るとされていました。様々な寺社から発行されていた牛王のなかで最も神聖視されていたのが、熊野の牛王でした。とくに武将の盟約には必ずといっていいほど、熊野牛王が使われたそうです。
熊野の神への誓約を破ると、熊野の神のお使いであるカラスが三羽亡くなり、誓約を破った本人は血を吐いて地獄に堕ちるとされていました。
また、熊野牛王を焼いて灰にして水で飲むという誓約の仕方もありました。熊野牛王を焼くと熊野の社にいるカラスが焼いた数だけ死ぬといわれ、その罰が、誓約を破ったその人に当たって即座に血を吐くと信じられ、血を吐くのが恐くて、牛王を飲ますぞといわれると、心にやましいものがある者はたいがい飲む以前に自白をしたそうです。熊野牛王は誓約に用いられた他、家の中や玄関に貼れば、盗難除けや厄除け、家内安全のお札としても用いられました。
み熊野ねっとホムページより抜粋引用させていただきました
身体的な効能だけでなく、神聖なものとして、仏教、神道、修験道に関わる人々、時の権力者などに大切に使われてきました
現在でも、心身両方の効果を期待して、音楽や舞台に立つ芸術家の方、海外旅行に行く方、人前で話をする方が牛黄をお求めになります
牛黄は丸い玉状あるいは玉が砕けている状態で入手できます
これを服用しやすいように乳鉢で粉末状にして、1回量0.1gに分包します
強心作用、赤血球新生促進作用、解熱作用、鎮静作用、鎮痙作用、肝臓保護作用、利胆作用、血圧降下作用、末梢神経障害改善作用、抗炎症作用、抗ウイルス作用、抗酸化作用などが知られており、幅広く慢性的な症状から緊急・救命薬としても使えます
水戸黄門の印籠にも入っていたと言われる牛黄、いざという時のためにご用意されてみてはいかがでしょうか